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7.各種規格等の概要

    (1) UL
         ULは、保険業者(Underwriters)のために電気及び火災事故を防ぐ目的で、民間レベルで設立された製品 安全試験に取り組む、アメリカ機関及び規格です。
 正式には、Underwriters Laboratories Inc, 規格です。合成樹脂材料に関する認定制度があり、合成樹脂に関係の深いものはとしては、以下の5つです。

  1. UL-94
     プラスチックス材料の燃焼試験
     試験片の厚みにより、94HB/94V-2/94V-1/94V-0があり、一般的に肉厚が薄い程燃焼しやすくなります。


  2. UL-746A
     プラスチックス材料の短期物性評価の規格で以下の2つが使用される。
     動的外力がかかるような使用環境下に適用され、熱可塑性樹脂の場合は、引張衝撃値で判定される(熱硬化性樹脂の場合はアイゾット値) 標示方法は、Mech,with impであります。
     静的外力のみがかかるような使用環境下に適用され、熱可塑性樹脂の場合は、引っ張強さで判定される。(熱硬化性樹脂の場合は曲げ強さ)標示方法は、Mech,w/o imp


  3. UL-746B
     プラスチックス材料の長期的物性評価の規格で以下が使用される。
    定格温度
    10万時間、一定の温度で大気中で暴露された場合、初期の物性値(電気的・機械的特性など)が50%に低下する一定の温度を標示する。標示は、RTI( Relative Thermal Index)で、単位は℃です。


  4. UL-746C
     プラスチックス材料の電気的用途評価の規格で評価レベルによりUL特性ランク標示される(PCL:Performance Level Categories)で以下の5つが使用される。

    1. 熱線着火性
       材料が加熱され着火する程度を、着火秒数で評価、標示はHWI(Hot-Wire Ignition)
       PCLランクは0から5までの5段階であり数字の小さい程良好である。

    2. 大電流アーク着火性
       材料がアーク放電によって着火する程度を 、アーク数で評価、標示はHAI(High-Ampare Arc Resistance)PCLランクは0から7の8段階で、数字の小さい程良好である。

    3. アーク抵抗
       ASTM D495に準じるアークに起因する、導電路を形成する度合いを秒数で評価。
       標示はD495とし、PCLランクは0から7の8段階であり、数字の小さい程良好である。

    4. 高電圧トラッキング
       材料の表面に繰り返し高電圧低電流のアーク放電をさせ、材料が導電路を生じせしめる程度を評価する。トラッキング速さ(ミリ/分)で評価、標示方法は HVTR(High Voltage Arc Tracking Rate)
      PCLランクは、0から4の5段階であり、数字の大きい程良好である。

    5. 耐トラッキング
       材料に永久的な炭化導電路を生じせしめる電圧の程度を評価する。
       標示はCTI(Comparative Tracking Index)PCLランクは、0から5までの6段階であり、数字の小さい程良好である。

  5. UL-746D
     プラスチックス加工メーカーが取得する規格であり、フォローアップ試験が軽減される、又再生材の使用を25%までと規定している。


    (2) CSA
         CSAは、Canadian Standards Association の略称であり、プラスチックス材料の燃焼性・性能分類の認定をする、非営利団体である。
 1995年には、ULとの対応が整備されている。
 以下に、プラスチックス関係のCSAとULとの相関性を対比する。

表 7-1 CSAとULの対比表 1
CSA
No.0.17
項目 No.0.6 UL
4.2.3 水平燃焼性(HB) テストE 94
4.2.2 垂直燃焼性(V-0、V-1、V-2) テストF 94
4.2.5 発泡材料の燃焼性テスト テストH 94
4.3.1 ホットワイヤーイグニッション テストI 746A
4.2.4 垂直燃焼性(VTM-0、VTM-1、VTM-2) テストK 94
4.2.1 5V燃焼性テスト(5VA、5VB) - 94
4.2.6 難燃コーティング テストJ 746C
4.3.5 ラディアントパネル - 94

表 7-2 CSAとULの対比表 2
CSA
No.0.17
項目 No.0.11 UL
5.2 アイゾットインパクト IZOD 746A
5.3 曲げ強度及び弾性率 FLEX -
5.4 引張強度 TENSL 746A
5.5 落錘衝撃 Drop W -
5.6 引張衝撃 TESIMP 746A
5.7.2 荷重たわみ温度 DTUL 746A
5.7.3 ビカット軟化点 Vicat 746A
9.5 ボールプレッシャーテスト - 746A
5.8 耐候性 - 746C
5.9 吸水性 MA 746A
6.2 絶縁破壊強度 DIELC 746A
6.3 体積抵抗率及び表面抵抗率 - 746A
4.3.2 比較トラッキング指数 CTI 746A
4.3.3 大電流アークイグニッション HAI 746A
4.3.4 高電圧アークイグニッション HVI 746A
7 相対温度インデックス RTI 746B




    (3) 電取法
         日本におけるプラスチックス材料の電気用品部品・材料任意登録制度であり、米国のUL規格、カナダのCSA規格に対応するものである。
 電取法に登録された部品・材料を選定すれば、試験は省略され、試験期間が短縮される。
 材料に係る登録項目は、以下の6つである。

  1. 絶縁物の使用温度の上限値
  2. 熱可塑性プラスチックスのボールプレッシャー温度
  3. 外郭用合成樹脂材料の水平燃焼性
  4. 印刷回路用積層板の垂直燃焼性
  5. 機器内被覆電線
  6. 合成樹脂材料の垂直燃焼性

以下に概略を説明する。

  1. 絶縁物の使用温度の上限値
     IEEE規格(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が基礎であり、UL746B規格と類似の方法の試験法で評価する。
     3温度以上の加熱温度で、エージングし、4万時間で物性が半減する温度を、5℃きざみでもとめる。用途により以下の試験方法で実施される。
      
    • 外郭を構成する部分のある絶縁物
       引張強さ又は曲げ強さ、衝撃強さ、絶縁耐力

    • 機械的外力を受ける絶縁物
       引張強さ又は曲げ強さ、衝撃強さ、絶縁耐力

    • 柔軟性を必要とする絶縁物
       引張強さ又は曲げ強さ、伸び、絶縁耐力

    • 機械的外力を受けない絶縁物
       絶縁耐力

  2. 熱可塑性プラスチックスのボールプレッシャー温度
     試験片を70℃のオーブン中で100時間前処理した後、デシケーター中で24~168時間放置する。所定の温度3点以上で、直径5mmの鋼球を20N(ニュートン)の力で20X20X3mmの試験片片面に1時間押しつけ、へこみ深さ又はへこみ径を求め、内挿で、へこみ深さが0.209mmとなるか、又はへこみ径が2mmとなる温度を5℃きざみで求める。

      
  3. 外郭用合成樹脂材料の水平燃焼性
     長さ125±5mm、幅13±0.3mmの試験片の一端から25mm及び100mmの位置に標線を付ける。23±2℃、50±5%RHの雰囲気中に48時間以上放置する。
     試験片の長さ方向を水平に、幅方向を45度傾けて取り付け、試験片下方10mmに、125X125mmの大きさで、20メッシュの金網を水平に取り付ける。
     内径9.5±0.5mm、管長100±10mmのブンゼン又はチリルバーナーに、熱量約37MJ/m 3 のメタンガスを流し、垂直にして25±2mmの青色炎を、バーナーを傾けて、試験片の一端6mmの位置まで、30秒間接炎し、接炎中止後、25mmの標線から100mmの標線まで燃焼する時間を測定し、燃焼速度をmm/分で表す。
     燃焼速度が、40mm/分以下の場合は40mm/分、75mm/分以下の場合は、75 mm/分と標示する。UL-94と同一の試験方法であるが、標示が異なる。


    (4) IEC
         IECとは、International Electrotechnical Commission の略称で、国際電気標準会議で非政府系の国際機関です。
 プラスチックスに関係する項目としては、TC15(絶縁材料)及びTC89(耐火性試験)があり、TC61では、家庭用電気機器の安全性、TC74では、情報処理及び事務用機器の安全性、TC92に電子機器の安全性があります。
 TC15Aには、比較トラッキング指数・保証トラッキング指数の試験方法や、耐トラッキング性及び耐浸食性の試験法等について記載されている。
 TC89には、要求事項及び試験方法作成の為の指針、個別項目としては、グローワイヤー(赤熱棒押し付け)や、ニールドフレーム(注射針バーナー)、燃焼試験法等が記載されている。以下に注意すべき点について補足します。

  1. 温度上昇値又は、最高温度
     最高温度は、ULの温度インデックスに対応、温度上昇値については、最高温度から家電の場合は、周囲温度25℃を引いた温度とする。

  2. 熱軟化温度
     ボールプレッシャー温度とビカット軟化点温度の2つがあるが、ビカット軟化点の場合は、ISO306に基づき、荷重10N、昇温速度50K/時間での測定値になる。

  3. 燃焼性
     ブンゼンバーナー試験の場合は、ULでの最小厚さに対応する。ニールドフレーム試験の場合は、実際の測定値で対応する。

  4. グローワイヤー試験
     最小厚さでの対応が必要。

  5. ホットマンドレル試験
     最小厚さでの対応が必要。

  6. 耐トラッキング性
     保証トラッキング指数については、UL登録値よりやや低い値となる。


    (5) JASO
         (社)自動車技術会が制定している自動車分野の規格であり、JASOは、JAPANESE AUTOMOTIVE STANDARDS ORGANIZATIONの略称であります。その中で、プラスチックスに関係の深い規格には以下のものがあります。

  1. プラスチックス成形部品の試験方法(JASO M312-85)
     以下の11の試験法が記載されています。

    1. 耐温度性試験
    2. 耐候性試験
    3. 耐水性試験
    4. 耐湿性試験
    5. 体液性試験
    6. 耐振性試験
    7. 耐衝撃性試験
    8. 耐摩耗性試験
    9. 耐傷付性試験
    10. 剛性試験
    11. 組み合わせ試験

  2. プラスチックス部品の電気メッキに係る性能規定(JASO M601-89)
     自動車部品の装飾用に使用される各種電気メッキの性能を規定している。

  3. プラスチックス部品の塗装の評価方法とその品質性能規定(ASO M606-82)

  4. 自動車用硬質プラスチックスグレージング材 (ASO K330-87)

  5. 自動車用プラスチックス製燃料タンク(ASO M327-83)

  6. 自動車用サンバイザー(ASO B404-93)

  7. エアスポイラーの強度及び車体への取り付け強度(ASO B410-85)

  8. 自動車用ウオータードレインコック(ASO F405-86)

  9. ポリアミドチューブ用継ぎ手(ASO F409-91)

  10. 内装部品のキセノン耐光性試験方法(ASO M346-93)


    (6) SAE
         THE ENGINEERING SOCIETY FOR ADVANCING MOBILITY SEA AIR AND SPACEの略称であり、自動車に係る、SAE規格の設定、技術発表会などを開催している。
 日本における問い合わせ窓口は、(社)自動車技術会であります。


    (7) 食品衛生法
         食品、食品添加物、食品用器具・包装容器、玩具、洗浄剤を対象とした、日本の法律であります。このうちプラスチックスに関係する項目は、厚生省告示第370号に記載されている。具体的には、第三の器具及び容器包装に記載されています。

  1. 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格
  2. 器具又は容器包装一般の試験法
  3. 試薬・試液等
  4. 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格
  5. 器具及び容器包装の製造基準
 内容的には、一般規格として、材質試験と溶出試験が規定されており、個別規格としては特定の樹脂について、規定したものであり、関係の深いものを挙げると以下のごとくになる。

  1. ホルムアルデヒドを原料とする合成樹脂
     フェノール、ホルムアルデヒドの溶出限界を規定

  2. ポリスチレン及びこれを主成分とする合成樹脂
     材質試験項目のうち、揮発性成分(スチレン、トルエン、エチルベンゼン、インプロピルベンゼン、n-プロピルベンゼン)と、スチレン、エチルベンゼンを規定

  3. ポリメタクリル酸メチル
     溶出試験の項目に、メタクリル酸メチル15ppm以下を規定

  4. ナイロン
     溶出試験の項目に、ε-カプロラクタム15ppm以下を規定

  5. ポリカーボネート
     材質試練に以下の項目を規定
     ビスフェノールA500ppm以下、ジフェニルカーボネート500ppm以下、アミン類1ppm以下
     溶質試験では、ビスフェノールA2.5ppm以下を規定


    (8) FDA
         連邦食品医薬品化粧品法に基づくアメリカの食品関係法であり、Federal Food Drug and Cosmetic Act の略称であります。FDA規格の中では、プラスチックスとしてのまとめた規格はないものの、食品用容器・包装などの成分は、原則的には、間接食品用添加物としてこの法律の規制の対象になる。具体的に関係する項目は、以下のごとくである。

  • Part176
     容器・包装材に対する溶出試験条件は、AからHまでの8項目あります。
  • Part177
     ポリマーに関する規定として、移行試験条件 AからHまでの8項目が規定されている。
  • Part178
     プラスチックス用添加剤に関する規定がされている。


    (9) ISO
         国際標準化機構International Organization for Standardizationの略称で、非政府機構であります。ISO規格の制定については、ISO内の各種の手順に従い審議・検討されます。プラスチックスに係るTCは、TC61(Plastics)とTC138(Plastic Pipe)で各種の規格案の審議・検討がされますが、TC61では、SC1からSC13あり、その中に必要なWGがあります。
 又品質システムに関する国際規格としてISO 9000シリーズ、又環境マネジメントに関しては、同じくISO-14000シリーズがあります。

  1. ISO-9000シリーズ
     イギリスBS 5750、フランスNFX 50-110、ドイツDIN 55-35等が基準になって作られました。以下にISO規格とJIS規格との対比を示します。
    ISO JIS 規格内容
    ISO9000 JISZ9900 選択及び使用の指針
    ISO9001 JISZ9901 開発・設計などにおける品質保証モデル
    ISO9002 JISZ9902 製造などにおける品質保証モデル
    IS09003 JISZ9903 最終検査などにおける品質保証モデル
    ISO9004 JISZ9904 品質管理等の要素

  1. ISO14000シリーズ
     イギリス BS7750 をはじめ各国の規格などが基準になって作られました。その体系は以下のごとくなっており、ISO化とともに日本においても、順次JIS化が進められることになっています。
    ISO JIS 規格内容
    ISO14001 JISQ 14001 環境マネジメントシステム
    ISO14004 JISQ 14004 一般指針
    ISO14010 JISQ 14010 環境監査の指針
    ISO14011 JISQ 14011 監査手順
    ISO14012 JISQ 14012 監査員のための資格基準
    ISO14020   環境ラベル
    ISO14030   環境パフォーマンス評価
    ISO14040   ライフサイクルアセスメント

    (10)
JIS
         日本工業規格Japan Industrial Standardsの略称であり、日本の国家規格であります。JISには、18部門がありますが、そのうちプラスチックスを含む化学関係は部門Kに属します。分類番号60から69及び70から79に含有されていますが、その中で各種プラスチックスの試験法・評価方法については、K6700からK7380までに詳細に記載されています。


    (11)
ASTM
         世界最大の米国の規格協会であり、The American Society for Testing and Materialsの略称であります。そのうちプラスチックス部門は、D20グループで審議・検討されます。